研究の概要
1.目的

 住宅部門のエネルギー消費は,日本のエネルギー消費の14%を占めるといわれている。また,快適性の追求やIT化や新たな家電製品の普及などに伴い,今後も大きく伸びるものと予想されている。さらに高齢化や在宅勤務・SOHOの導入によるライフスタイルの変化も,住宅部門のエネルギー消費に大きな影響を与えることが予想される。
 本研究は,住宅と住宅内に設置された機器のエネルギー消費を実測しデータベース化すること,住宅内のエネルギー消費機器の評価手法を確立すること,さらに個々の住宅と住宅部門のエネルギー消費の予測に有効なモデルを開発することを目的としている。社団法人日本建築学会という公的かつ中立な機関によって,データベースや評価手法やモデルを提供することは重要な意義があると考えられる。

2.研究概要

 平成13年度の実測対象家庭は,日程の都合上,関東一円(東京電力供給区域内)から選定するが,平成14年度以降は日本全国を対象とする。

1)住宅のエネルギー消費量実測・データベースの作成
 学会・協会から発表されている家庭内のエネルギー消費に関するデータを,地域別・年代別・住宅種類別に整理し,住宅のエネルギー消費特性の変遷を明らかにする。この調査の過程で,データベースに必要とされる項目の整理を行う。
 あわせて家庭内の用途別(機器別)・時刻別エネルギー消費に関して実測を行う。特に電力−熱需要に関しては区分して計測を行う。

2)個別機器のエネルギー消費効率の検討
 エネルギー利用機器の効率に関する文献を調査する。特に,機器の性能評価を行うときの負荷条件について調査し,1)で得られた実態との比較を行う。また,実際の使用時においては,部分負荷(エアコン・給湯器・冷蔵庫など)・設置場所(エアコンの屋外機・冷蔵庫・給湯器など)・経年変化(機器の劣化やメンテナンス不良など)がエネルギー消費量に大きな影響を及ぼすことが予想されるので,それらをふまえた評価手法を提案する。

3)住宅のエネルギー消費量予測モデル作成
 各種の統計(着工統計,家電製品出荷統計など)から,シェルターとしての住宅の特性,居住者の属性,エネルギー消費機器の導入状況を調査する。この調査により住宅のストックに関して,基本的な特性を把握し,個々の住宅のエネルギー消費量を予測するミクロモデルと,住宅部門のエネルギー消費を予測するマクロモデルを作成する。

3.研究期間

 研究期間は,平成13年度から平成15年度とする。