新潟県の住宅における室内温熱環境とシェルター性能に関する研究
その2 断熱・気密性能の実態に関する調査結果                              渡辺 澄
 
1  研究目的
 本報(その2)では前報(その1)に引き続き、新潟県の一戸建て住宅を対象として気密性能と熱損失係数を実態調査により明らかにし、適切な住まい方や設備設計を行う上での基礎資料を蓄積することを目的とする。
 
2  調査概要
2.1 調査対象
 表1に示す新潟県各地域の一戸建て住宅を対象とする。対象住宅の平面の一例を図1に示す。
 
2.2 調査内容
(1)気密性能:図2に測定系統を示す。ファンの風量を変化させ室内外圧力差を測定し、両者の関係から住宅に存在する全ての隙間面積(有効開口面積)を算出し、床面積で除して相当開口面積を求める。測定は主に減圧法で行う。
(2)熱損失係数:熱損失係数は、対象住宅の設計図書に記載されている天井・壁・床の構成、窓の種類等から算出する。
 
3  気密性能の測定結果
3.1 室内外圧力差と漏気量の関係
 室内外圧力差と漏気量の関係を図3に示す。表2に測定対象とした全住戸の気密性能グレードを、表3に構法別に平均した相当開口面積を示す。どの対象住宅でもグレードは6以下である。また、2×4構法等のパネル構法は、在来構法よりも気密性能が高い。
 
3.2 延床面積と有効開口面積の関係
 図4に、延床面積と有効開口面積の関係を示す。全105住戸において,、どの住宅でもグレードは6以下である。また、2×4構法等のパネル構法の住宅は、全てグレードが5以下である。
 
3.3 相当開口面積の分布
 図5に対象住戸の相当開口面積の分布を示す。グレード4(5.3〜9.5(cu/u))が30件で最も多い。次に、グレード3(3.0〜5.3(cm2/u))が28件である。
 
4 熱損失係数の算出結果
4.1 断熱材使用組み合わせと熱損失係数の関係
 図6に断熱材使用状況と熱損失係数の関係を示す。天井と基礎に発泡系、壁に繊維系を使用している組み合わせ(f)が熱損失係数1.9(kcal/u・h・℃)で最も良い。また天井・壁が発砲系、床が繊維系の組み合わせ(e)は、熱損失係数3.0(kcal/u・h・℃)が最も悪い。最も多い断熱材使用の組み合わせである、天井と壁が繊維系、床が発泡系の住宅(a)の熱損失係数は、2.4(kcal/u・h・℃)であり、相対的に高い断熱性能を有している。
 
4.2 構法別の住宅の熱損失係数
 構法別に平均した熱損失係数を表4に示す。パネル構法は、1.8kcal/u・h・℃、在来構法は2.4kcal/u・h・℃でありパネル構法の方が断熱性能は高い。次に、窓の種類と熱損失係数の関係を表5に示す。ペアガラスを使用している住戸の熱損失係数は1.8kcal/u・h・℃、シングルガラスを使用している住戸は2.5kcal/u・h・℃となり、ペアガラスの方が優れた断熱性能を有する。
 
4.3 熱損失係数の分布
 図7に熱損失係数の分布を示す。1.5〜2.0(kcal/u・h・℃)の住戸が31件で最も多い。新潟県における、住宅金融公庫の仕様によれば、断熱性能は2.7kcal/u・h・℃以下であるが、これ以下の住宅は対象住宅105件中77件と過半数を占めている。
 
5 まとめ
@気密測定結果によれば、半数以上がグレードが3以下である。しかしながら、グレード4を越える住宅もある。
A構法別のシェルター性能では、パネル構法が在来構法より優れている。特に気密性能に関しては在来構法ではグレード4、パネル構法ではグレード2と差があり、バラツキが大きい。
 

謝辞
 本研究の一部は、新潟県戦略技術研究プロジェクト委員会で行ったものである。又、本研究を行うに当たり、調査にご協力して頂いた居住者の方々や工務店の各位に深く感謝の意を表します。


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