1 研究目的
市街地における風環境の予測には、風洞模型実験が一般的に用いられている。しかし、風洞実験には相似条件の問題や時間、費用等の観点から様々な制約が与えられている場合が多い。近年、流体の数値解析手法が進歩し、これを用いた予測手法に関する研究が行われており実用化の段階を迎えている。 2 研究概要
2-1 風洞実験 最大風速30[m/s]の風洞実験装置を使用する。風速の測定にはサーミスタ型の多点風速計を風洞模型に設置し、高さ0.125bの風速を計測する。建物模型はb=10cmとし、アクリル板で作成する。 2-2 数値解析 図1に示す2棟の建物を対象とした解析を行う。2種類の乱流モデルを使用し、地上面付近に生じる強風域の予測精度を検討する。 2-3 νtの算出式 2つの乱流モデルでは、渦粘性係数νtのモデル化が異なる。両モデルにおけるνtの算出式を表1に示す。標準k-εモデルは主流方向が大きく変化する場所で乱流エネルギーの生産項Pkを過大評価してしまうことが従来から指摘されているのに対し、改良k-εモデルは、νtを修正することによりその点を改善したモデルである。 2-4 流入条件 アプローチフローは、風洞実験装置を補間して図2のように与えた。 2-5 メッシュ分割 3 解析結果
4 まとめ風洞実験結果と標準k-εモデル及び改良k-εモデルの高さ0.125bにおけるスカラー風速を棟高風速で基準化した風速比の水平分布を図4に示す。 建物間の縮流や剥離流など強風域の再現は、改良k-εモデルが標準k-εモデルよりも相対的に優れている。しかし、どちらのモデルにも地表面付近の風速を風洞実験結果より大きめに評価する傾向が見られた。また、建物モデルの数が増加することによる数値解析の再現精度の変化はあまり認められない。 |