付室・施設室の設計必要換気量
6 付室・施設室の設計必要換気量
付室および施設室においても居室と同様に、汚染質濃度が設計基準濃度以下になるように換気量を算定することが原則となる。しかし、付室・施設室は汚染質の種類が多様であり、汚染質発生量を定めにくい場合がある。このような場合には、表−11に示す付室および施設室の換気の必要な要因と汚染質の発生状況を考慮し、設計必要換気量としてその概略値(換気回数で表示)を用いることができる。
換気設備が必要となる要因は、汚染質・臭気・熱の排出、燃焼器具に対する酸素の供給、法規制などである。なお、居室の設計必要換気量の算定においては4.2に記したように汚染質として熱および水蒸気は対象としていないが、大量の熱や水蒸気の発生する用途の付室・施設室ではこれらを排除する目的で換気が行われるのが一般的であるので、本章では換気の必要な要因に熱、水蒸気も含めている。換気方式の選択に当たっては、第1種換気は室内圧を任意に選べること、第2種換気は室内圧が周囲に対し正圧になること、第3種換気は負圧になることを考慮し、それぞれの用途に応じて適切な方式を採用する必要がある。
表−11中の×印は一般的には採用を避けたほうがよい方式を示したものであるが、例えば、倉庫では保管物質が極端に外気を嫌う場合には、供給空気の状態を制御して第2種換気を採用している例もある。また、電気室やエレベ−タ機械室でも、開口が十分に大きいなど、第2種換気によって室内温度を一定以下に保つことができるような場合にはこの方式が採用されている例もある。
住宅浴室の換気は水蒸気の排除を目的とするが、入浴中においては入浴者の快適性についても考慮するべきであるので、表−12のように入浴中と入浴後で、また、季節によって換気量を変化させることが適切であると言う提案もなされている35)。
湯沸し室、台所やちゅう房のように開放式の燃焼器具を使用する室の換気量は、建築基準法施行令によれば理論燃焼ガス量の40倍(40kQ)と定められている。ただし、排気フ−ドの使用と型式により、I型では30kQ、II型では20kQまで減じることができる。一般に台所ではI型のフ−ドが、業務用ちゅう房ではII型のフ−ドが用いられる。排気フ−ドの型式は表−13に示すとおりである。
また、電気レンジを使用して鍋による料理などを行なう台所では、レンジ発熱量およびフ−ド下端高さに応じ、図−4より設計必要換気量を求めることができる(例えば、レンジ発熱量3.5kW(3000kcal/h)、フ−ド下端高さ80cmで、換気量は330m3/h程度になる)。
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