o 換気設備

o 換気設備構成要素の技術基準

7 換気設備
7.5 換気設備構成要素の技術基準
 機械換気設備は所要の空気を確実に供給または排出することができる機能を有し、かつ、騒音、振動等の影響が少ない構造とし、各構成要素は次の技術基準に従うものとする。
1)外気取り入れ口  外気取り入れ口は汚染された空気を取入れることがないように、周辺の状況を考慮して、適切な位置に設置し、定常的に清浄な外気を取入れることができるようにすること。
2)屋外排気口  屋外排気口は、外部風による影響が少なく、かつ、取り入れ外気への室内汚染空気の流入が生じないように、その位置、形状を定めること。さらに、近隣に対して汚染、騒音、気流等の問題が生じないように配慮すること。
3)給気口(吹出し口)  給気口は、室内で良好な気流分布が得られるような吹出性能のものを適切な位置に設けること。
4)排気口(吸込み口)  排気口は、室内汚染空気を効率的に排出できるような吸い込み性能のものを適切な位置に設けること。
5)送風機  送風機は、ダクトその他の抵抗および外風圧に対して、安定した所要の風量が得られる能力を有すること。
6)ダクト  ダクトは漏れの少ない気密な構造とし、消音などに配慮すること。
7)空気浄化装置  取入れ外気が特に汚染されている場合や、還気に含まれる汚染質(粉塵等)を除去する場合は、適切な空気浄化装置を設けること。
8)構成要素の材質  構成要素の材質は、容易に劣化したり、給気を汚染するおそれがないものであること。
9)点検・整備  送風機、給排気口、ダクト、空気浄化装置等の換気設備の重要な部分は、容易に定期的な点検・整備が可能な構造とし、常に所要の性能および適切な衛生状態を維持できるようにすること。
 給気設備は、清浄な外気を室内へ安定に供給し、良好な室内気流分布を実現する設備である。排気設備は、室内で発生した汚染質を速やかに排出し、他の室への汚染質の流出を防ぐ設備である。また、これらの換気設備は近隣に対して汚染、騒音、気流などの問題が生じないように配慮する。
1)外気取り入れ口:  外気取り入れ高さは、自動車排ガス等の影響を考慮し、屋上等できるだけ高い位置に設置するのが望ましい。また、排気口との位置関係を考慮し、室内から排気された汚染質が取入れ口から入るのを防ぐ必要がある。
2)屋外排気口:  屋外への吐出口(外壁の排気口など)は、その位置により外部風圧の影響を受け、排出が阻害される場合がある。換気扇の外壁排気口の向きは卓越風向との正対を避け、必要に応じてバッフル板を設けるなどの処置を行なう。また、吐出排気による騒音、臭気、熱、気流が近隣に悪影響を及ぼしたり、取入れ外気へ室内汚染空気が流入する(ショ−トサ−キット)などのおそれがある場合には、排気口の位置、吐出方向など建築計画上の考慮とともに、これらの悪影響を防止するための設備を設けるなどの対策を行う。
3)給気口(吹出し口)と排気口(吸込み口):  十分な換気量を確保した場合においても、吹出し口および吸込み口の位置や性能が不適切であれば、良好な気流分布が得られない場合や汚染質を十分に排出できない場合がある。したがって、室の形状や使用状況、汚染質発生源等を考慮して適切な吹出口および吸込口の位置や形状が決定されなければならない。
4)ダクト:  ダクトの漏気量は、構造、製作・施工精度により異なる。たとえば、角型ダクトのフランジ接続部などは漏気量が多くなりやすいので製作・施工に十分注意を要する。また、コンクリ−トブロックでダクトを構成する場合は、金属ダクトより漏気量が大きいことに十分配慮する必要がある。また、ダクトは騒音の伝播経路となることがあるので必要に応じて消音装置を設けるなどの対策を行なう。なお、ダクトの施工規準については別途”ダクトの新標準仕様技術指針・同解説(当学会)”を参照されたい。
5)空気浄化装置:  取り入れ外気が特に汚染されている場合や、還気に含まれる汚染質(粉じん等)を除去する場合は、適切な空気浄化装置を設けるなどの対策を行なう必要がある。特に取り入れ外気の汚染質濃度が設計基準濃度を超えている場合は、空気浄化装置により清浄な状態にする必要がある。
6)構成要素の材質:  ダクト、送風機、外気取入れ口、吹出し口、吸込み口、排気口、その他の機器などで金属で作られる部分は、乾燥状態においては容易に劣化しないが、内張り保温材、消音材、フィルタ−などは、飛散したり、汚れが付着しやすいため空気を汚染することがある。したがって、周囲の温・湿度状態などを考慮して、十分な耐久性があり、空気を汚染しない材料を選定しなければならない。
7)点検・整備:  所要の能力を維持するためには、日常のメンテナンスが重要である。このため、特に送風機、ダクト、給排気口の可動部および汚れやすい部分などについては、定期的な点検・整備を行なう上で必要となる点検口、メンテナンススペ−スを十分確保する。また、性能測定のための器具やスペ−スについても十分考慮する必要がある。


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