完全混合濃度に基づく基本必要換気量
2種類以上の汚染源が存在する場合の基本必要換気量
5.1 完全混合濃度に基づく基本必要換気量
5.1.5 2種類以上の汚染源が存在する場合の基本必要換気量
居室内に2種類以上の汚染源が存在する場合、例えば人間と煙草が存在する場合や、人間と開放式燃焼器具が存在する場合は以下の方法で基本必要換気量を算出する。
(1)発生する汚染質の種類・量のすべては明確にわからない汚染源(例えば人間、煙草、開放式燃焼器具の一部など)については、二酸化炭素の発生量を集計し、総合的指標である二酸化炭素の設計基準濃度(1000ppm)に基づいて換気量を算出する。
(2)居室内に存在する全ての汚染源を対象に表−1に示した汚染質のそれぞれを単独指標として換気量を算出する。すなわち各汚染源からの発生量を汚染質ごとに集計し、それぞれの単独指標としての設計基準濃度に基づいて換気量を算出する。単独指標としての二酸化炭素の設計基準濃度は3500ppmである。
(3)上記の(1)と(2)で求めた換気量のうち最大値を基本必要換気量とする。
- 居室内では人間、煙草、開放式燃焼器具などの汚染源が同時に存在する場合がある。このような場合について基本必要換気量の算出例を以下に示す。
- 例1 人間と煙草が汚染源となる場合の基本必要換気量
- 人間も煙草も発生する汚染質の種類・量のすべては明確にわからない汚染源であるので総合的指標(二酸化炭素1000ppm)による換気量を求める。
- 先ず人間と煙草から発生する二酸化炭素の量を集計する。
- ΣMP<CO2’>=MP<CO2’>(人間)+MP<CO2’>(煙草) ・・・(23)
- 次に本文(1)式を適用して総合的指標に対する換気量を算出する。
- Qp<CO2’>=ΣM<CO2’>/(Ci<CO2’>−Co<CO2’>)=ΣM<CO2’>[m3/h]/((1000−350)×10−6[m3/m3] ・・・(24)
- さらに単独指標として二酸化炭素からTVOCまでの9種類の汚染質について換気量を算出する。
- 本文表−1の9種類の汚染質について人間と煙草から発生する量を集計する。
- ΣM<CO2>=M<CO2>(人間)+M<CO2>(煙草)
- ΣM<CO>=M<CO>(人間)+M<CO>(煙草)
- ΣM<du>=M<du>(人間)+M<du>(煙草) ・・・(25)
- ΣM<TVOC>=M<TVOC>(人間)+M<TVOC>(煙草)
- 本文(1)式を適用して9種類の単独指標に対する換気量を算出する。
- Qp<CO2>=ΣM<CO2>/(Ci<CO2>−Co<CO2>)=ΣM<CO2>[m3/h]/((1000−350)×10−6[m3/m3])
- Qp<CO>=ΣM<CO>/(Ci<CO>−Co<CO>)
- Qp<du>=ΣM<du>/(Ci<du>−Co<du>) ・・・(26)
- Qp<TVOC>=ΣM<TVOC>/(Ci<TVOC>−Co<TVOC>)
- (24)式、(26)式に示す10種類の換気量のうちの最大値を基本必要換気量とする。
- 居室内に人間が20人、喫煙が40本/hある場合について基本必要換気量の算出例を表−8に示す。
- なお、再循環を行う空調システムを用いてフィルタ−により粉じんを捕集する場合は、浮遊粉じんに対する換気量の計算においてフィルタ−の粉じん捕集率および再循環率が考慮される。
- 例2 人間と煙草と、汚染質の種類・量のすべてはわからない開放式燃焼器具が汚染源となる場合の基本必要換気量
- 前述の通り人間と煙草は発生する汚染質の種類・量のすべてはわからない汚染源であるが、開放式燃焼器具は発生する汚染質の種類・量のすべてはわからない場合とすべてがわかる場合があり、それぞれについて基本必要換気量の算出方法が異なる。先ず汚染質の種類・量のすべてはわからない開放式燃焼器具の例について説明する。
- 汚染質の種類・量のすべてはわからない開放式燃焼器具についても人間、煙草と同様、総合的指標(二酸化炭素1000ppm)による換気量を求める。
- 先ず人間、煙草、開放式燃焼器具から発生する二酸化炭素の量を集計する。
- ΣM<CO2’>=M<CO2’>(人間)+M<CO2’>(煙草)+M<CO2’>(燃焼器具) ・・・(27)
- 次に本文(1)式を適用して総合的指標に対する換気量を算出する。
- Qp<CO2’>=ΣM<CO2’>/(Ci<CO2’>−Co<CO2’>)=ΣM<CO2’>[m3/h]/((1000−350)×10−6[m3/m3]) ・・・(28)
- さらに単独指標として二酸化炭素からTVOCまでの9種類の汚染質について換気量を算出する。
- 本文表−1の9種類の汚染質について人間、煙草、開放式燃焼器具から発生する量を集計する。
- ΣM<CO2>=M<CO2>(人間)+M<CO2>(煙草)+M<CO2>(燃焼器具)
- ΣM<CO>=M<CO>(人間)+M<CO>(煙草)+M<CO>(燃焼器具)
- ΣM<du>=M<du>(人間)+M<du>(煙草)+M<du>(燃焼器具) ・・・(29)
- ΣM<TVOC>=M<TVOC>(人間)+M<TVOC>(煙草)+M<TVOC>(燃焼器具)
- 本文(1)式を適用して9種類の単独指標に対する換気量を算出する。
- Qp<CO2>=ΣM<CO2>/(Ci<CO2>−Co<CO2>)=ΣM<CO2>[m3/h]/((1000−350)×10−6[m3/m3])
- Qp<CO>=ΣM<CO>/(Ci<CO>−Co<CO>)
- Qp<du>=ΣM<du>/(Ci<du>−Co<du>) ・・・(30)
- ......................
- Qp<TVOC>=ΣM<TVOC>/(Ci<TVOC>−Co<TVOC>)
- (28)式、(30)式に示す10種類の換気量のうちの最大値を基本必要換気量とする。
- 居室内に人間が1人、喫煙が1本/h、汚染質の種類・量のすべてはわからない開放式燃焼器具1kW(都市ガスを使用)がある場合について基本必要換気量の算出例を表−9に示す。
- 例3 人間と煙草と、発生する汚染質の種類・量のすべてが明確にわかる開放式燃焼器具が汚染源となる場合の基本必要換気量
- ここでは発生する汚染質の種類・量のすべてが明確にわかる開放式燃焼器具の例について説明する。
- 開放式燃焼器具から発生する汚染質の種類・量が明確にわかっている場合については総合的指標(二酸化炭素1000ppm)による換気量を求める際にこれから発生する二酸化炭素量を考慮しなくても良い。すなわち人間、煙草から発生する二酸化炭素の量を集計し、以下のように総合的指標による換気量を求める。
- ΣM<CO2’>=M<CO2’>(人間)+M<CO2’>(煙草) ・・・(31)
- 次に本文(1)式を適用して総合的指標に対する換気量を算出する。
- Qp<CO2’>=ΣM<CO2’>/(Ci<CO2’>−Co<CO2’>)=M<CO2’>[m3/h]/((1000−350)×10−6[m3/m3]) ・・・(32)
- また、単独指標の9種類の汚染質に対する換気量については例2と全く同様に求める。すなわち(29)式、(30)式により算出する。
(32)式、(33)式に示す10種類の換気量のうちの最大値を基本必要換気量とする。
- 居室内に人間が1人、喫煙が1本/h、発生する汚染質の種類・量のすべてが明確にわかる開放式燃焼器具1kW(都市ガスを使用)がある場合について基本必要換気量の算出例を表−10に示す。
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